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王道、丁寧。だからこそグっとくる「魔王さんちの勇者さま」感想

澄人は16歳になった瞬間にたたき起こされ、父親から「勇者となって世界を救え!」と言われる。まだ眠いので再びふとんにもぐりこみながら、てきとーな返事をして二度寝ときめこむ。目覚めたら、見慣れない世界にいた。そんな澄人の前に〈魔王様〉が現れた!「我の部下になるというのならば、その命助けてやってもよいぞ」その言葉を聞いて、「そっちでお願いします」と、いうわけで、勇者の澄人は魔王の手下になり、魔王の娘の付き人としての生活が始まった!徳間デュアル文庫特別賞受賞作品。

そういうわけで、オーソドックスもオーソドックスな「我が部下になれば~」「はい」という流れのファンタジーものです。全体的にほのぼのとした空気が漂っており、魔王を殺すためだけの聖剣を持つ主人公と、魔族からも恐れられるほどの魔力を持つ魔王の娘との交流を描きます。

あっさりと流れるように描かれる設定は意外と重く、なぜ魔王が居るのか、勇者が居るのかという説明もカバー。そつなく綺麗にまとまっています。

王道、基本をしっかり抑えていて、それだけじゃない確かな魅力。のほほんとした主人公と、自分の力に戸惑いつつ成長していく魔王の娘との交流が楽しく、いつまでも続いてくれと願うばかり。

紙飛行機を見て魔法じゃ無いのか!? と息巻く姫を見て微笑む主人公の画が目に浮かびます。

そして魔王を倒しにやってくる人間。魔王の意味。勇者の意味。結末。

丁寧に描かれてきたからこそ結末が胸にきます。

剣と魔法、ファンタジーに少し飽きてきた人は、リセットの意味も含めて読んでみてはいかが。間違いなく良作です。