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誰にでも遊びやすく、艦これの雰囲気をTRPGに綺麗に落とし込んだ「艦これRPG 着任ノ書」感想

言わずもがな、大人気ブラウザゲームがまさかのTRPG化ですね。一度遊んでみて大体の感触が掴めたので感想を書いていこうかと思いますよ。

リプレイはTRPG・艦これ未経験者を交えて丁寧に進行

まず、リプレイからして「初めて」の人たちを集めているのに好感がもてました。艦これは知ってるけれどTRPG初めて、TRPGは知ってるけれど艦これ初めてという人たちが、どういう風に遊ぶのかという雰囲気を掴むことが出来ます。

キャラクターに属性が加えられていく様や、状況により空想・妄言を言い合いながら「本当にそうなる」一連の流れは本当にTRPGらしい。ここまでやって良いのがTRPG、というのが分かるリプレイは個人的に好きです。

全体的に進行も丁寧で、チュートリアルのように進んでくれて、読んだ後すぐに「遊べる気がする!!」と思えます。

そもそもルルブにリプレイがついているというのは、初めてTRPGを遊びたいと思う人たちにはとても嬉しいことですよね。

テンプレート方式によりキャラ作成の時間を短縮

賛否あるようですが、キャラクターを一から作成するではなくすでにステータスが決まっているキャラクターを選ぶ「テンプレート」という方式は艦これに合っていますし、なにより初めての人たちの負担を減らす事が出来ます。特に艦これを知っている人たちからすれば、艦娘たちのステータスは元々決まっているのが当たり前ですしね。

テンプレート方式だからといって、選べるキャラクターは三十人程度。さらには四月に拡張も発売が決定し、さらに選べる艦娘は増えるようです。特徴もきっちり捉えていて「ああ、そうそう、こんな感じだよね」という物に仕上がっています。艦これを知っていればすっと理解できるものになっていますね。

さらに、数行のキャラクター解説とリアクション表に記載されている台詞から艦これ知識の無い人にも優しい設計。そもそも艦娘という存在自体、背中に砲台をしょっていたり弓を持っていたりして容姿が性能を表しているので、「こういう子なのかな?」という想像のみでのプレイでも的を得ていたりします。

サイコロフィクション特有の遊び易さと楽しさ

艦これRPGの基礎となっているサイコロフィクションというTRPGルールは判定が少し特殊ではありますが、一度マスターしてしまえば行為判定も攻撃判定も回避も全て同じ方法で行うのでプレイに集中できます。舞台も大量にある表によりとても「なんじゃこりゃ」な物になりやすく、お話の種が出来やすいので動きやすくなっています。艦これRPGでTRPGに興味を持てば、他のサイコロフィクションシリーズにも手が伸びやすいというのもいいですね。

手番や感情などといったルールも遊びやすさに繋がっています。誰と誰がどういった環境にあるのか、どういう感情を抱いているのか。さらには手番があることによって、それぞれがどう物語を薦めたいのかという「主導」を握ることができるというのが、なによりもTRPGらしくて素敵だと思います。

さらに、今回は手番の人だけ、もしくはもう一人という括りではなくなっており、原則全員登場している事になっています。常に物語に参加できるのは嬉しいですね。

イベントカードという話題の提供

艦これRPGの大きな特徴に「イベントカード」があります。そのシーンがどういった物になるのか記入されたもので、補給や遊びなどの演出の他に、キーワードという項目があります。これが楽しい。突拍子の無い話題に頭がまっ白になったり、思わず吹きだしてしまう物があったり。「それじゃあこのキーワードどうしよう?」と皆でワーワーこれから起こることを予測しあえます。

艦これを完全に再現した戦闘

あらゆる意味で、原作であるブラウザゲームの艦これは「ランダム要素」との戦いでありますね。これをTRPGでも出来るだけ再現しようと頑張っているのが見て取れます。プロットや判定にそれは秩序に現れているでしょう。

戦闘ルール自体も艦これに合わせていて、フェイズが細かく分かれているのも面白いです。原作の艦これを遊んだことがある人はスッと入る事ができるかと思います。

まとめ

とりとめのない内容となりましたが、艦これからTRPGに入る人にはとても遊びやすいシステムになっているかと思います。サイコロフィクションらしいサイコロフィクション。TRPG好きもきっちり受け止める姿勢にはほれぼれします。

エラッタ、FAQも迅速で、ツイッターによるフォローを見ていると本気具合が窺えます。

これを機にTRPGを遊ぶ人がぐっと増えると嬉しい限りです。

 

 

百合をするためのTRPG!「える・えるシスターTRPG」感想

百合風味学園コメディRPG『える・えるシスターTRPG』

体験する機会に恵まれましたので軽く感想をば。

百合をするための素材と要素がきちんと揃ってる

ステータスや要素、ルールなどはPC達が百合をするために必要な物は揃っている感じですね。

コスプレイヤー、クール、めがね、腐などなど。おもしろみのある名前の属性がそろっていて、それがゲームに影響を及ぼしています。もちろん突き詰めるとPC同士の優劣が色濃くなるのですが、そこは同人TRPG、「こういうキャラ」が作りたいという欲求を素直に受け入れてくれます。

心と心の距離をマップに

特殊だなと思うのは、PC達の距離感をそのままマップに落とし込んでいる点。物理的な距離ではなく、お互いの親密度をマップにしているんですね。その名も「ココロマップ」。マップの移動は一緒にシーンを演出した相手に任せるというのも面白いです。しかし、リソースである「ハート」もマップに置かれるので、移動するのに躊躇したくなる場面もあります。

シーンは少し複雑かも

日常シーン、対決シーン、暴走シーン、すれ違いシーンなど。どのようなシーンを演出するのかという選択肢も多いのですが、その分いつ出来るのか、それでどうなるのかという把握が難しいですね。また、シーンの中身はプレイヤー達に任されます。

キャンペーン前提という印象

「親密度」という他PCへ対するステータスは最高値100なのは良いとして、それが1セッション10程度程しか上がらない、シーンなどを積み重ねていく上でPLに内容が一任される部分が多いという事で、どちらかというとキャンペーン前提になっている気がしますね。

まとめ

戦闘一切なしの女の子同士のやりとりが遊べるTRPG、色々な属性の女の子をシステム自体が対応している。というのは面白いです。スッキリとしたステータスや、かわいらしいキャラクターシート。見やすいDTP等々。力の入れようが窺えますね。遊んでみると、なるほど女の子達の感情の動きが視覚化されていてロールしやすいです。

ただ、システムがサポートしているのはここまでで、これを遊べば必ず女の子達が百合百合し始めるといった所まではいかないので、プレイヤー達がどのような百合へ持っていくのかを考える必要があります。

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百合風味学園コメディRPG『える・えるシスターTRPG』

原作もどうぞ。

超絶なカオスとキッチリと調整されたバランスが同居するアイドルハント&レッスンTRPG「どるばこ!」

猟奇的破壊集団TRPGサークル「なめくじたべぞう」さんの同人タイトルです。

簡単に紹介すると、プレイヤーはプロデューサーとなり、アイドルを「ハント」して「レッスン」し、来るべきフェスへと向けて準備を整え、これを成功させるというものです。

What’s 「どるばこ!」? – Togetterこちらも読んでみるといいかも。

どるばこ!+その他の委託とかイベントとかのお知らせ | なめくじたべぞう委託情報はこちら。

わかりやすいシステムとインパクトのあるコンセプトです。ルールもサマリー一枚に収まれているのと、キャラクターシートにできる事がまとまっているので全体が見通しやすくなっております。

アイドルを捕まえ育成する楽しさ

メインを担うのはプロデューサーではなくアイドル。現実と同じでこのシステムでもアイドルがメインとなります。システム上でも、ロールプレイ上でも。プロダクションはその大きさに合わせて雇えるアイドルの数が変わるのです。

沢山のアイドルが増えればもちろん最後の舞台、フェスでとても有利になっていきます。まずはアイドルをハントしていかなければ。

このアイドルを「ハント」するのがまず楽しいのです。トランプを引き、その図柄にあわせたアイドルが召還されます。性格が設定されており、それにより多様の成長方針があってこれまたバラエティに富んでいたりして。

プロデューサー:「ねえねえ、アイドルに興味ない?」

印象・毒舌:「え? なにいきなり。意味わかんないんだよね、キモイ死ね☆」

プロデューサー:「え、いや、えっと、スカウトなんだけれど。芸能界とか、興味な――」

印象・毒舌:「証拠出してよ。視界に居られると気分悪くなるんだよね。これ以上ぐだぐだやってると警察呼ぶよ♪」

のような小芝居を挟むようにしたりするとさらに面白いです。アイドル役はGMに任せても良いし他のプレイヤーが率先してやるときもありますよ。どちらにせよかなり盛り上がります。

続いて育成ですが、レッスンすることによりアイドルたちはドンドン特技やステータスが上昇していきます。一般的なシステムにおけるレベルアップのような形で、これまたワクワクするところです。自然と愛着が出来てきたりして、ロールプレイに熱が入ります。

プロデューサー:「今日はグラビアだ!」

印象・努力家:「う、うう、恥ずかしいですけどがんばります!!」

プロデューサー:「その表情いいよ!! いいよいいよ!!!」

印象・努力家:「キャ! どこから撮ってるんですか! やめてください! やめてください!!」

すっごい楽しいです。掛け合いもさることながら、現在進行形でキャラクターが育つというのは中々他のシステムでは味わえないのでとても新鮮。

一人六役なんて当たり前

そんなシステムですから、最終的にはアイドルが六人くらいになることはままあります。皆性格が分かれているので、結構被らずにそれぞれの個性が発揮されていきます。プレイヤー達でわいわい「この娘、最近レッスンしてないからそろそろ拗ねてるんじゃない?」とか言いつつ相談してみたり。完全にシステム上の論理思考から外れた判断をし始めます。ただ、それで良いと思えます。

サイコロフィクションをアレンジした手番方式を採用されていますが、よくあるような「手版じゃないからロールプレイできない」ということもなくジャンジャン口を出していく感じも良いですね。

そして、それをさらに促進される仕組みが「パッション」の投げあいです。

飛び交うパッションでロールプレイ合戦が

プレイヤーは皆手札にトランプを持っております。他人のロールプレイが面白かったりした場合(パッションを感じた場合)、これを譲渡する事ができます。また、GMからも飛んでくるので、とにかく隙あらばロールプレイしてやろうと盛り上がります。

プロデューサーでがんばるもよし、アイドルでがんばるもよし。

私の場合やりすぎて頭が痛くなってきます。が、楽しいからやめられないんですよね。ひどいプレイヤーです。

そしてフェスへ

フェスは文字通りフェスです。コンサートのようなものでしょうか?(実はよくわかってない)

ステージに立ち、レッスンの成果を皆に見せるのです。ここは大体完全にサイコロフィクションの体をなしています。トランプの図柄に合わせた指定特技へとダイスで判定を行うというシンプルなもの。サイコロフィクションが初めてでも、かなり簡略されているので一度やるとすぐに理解できるものに仕上がっています。

ものまねを披露したり、手品を披露したり、歌ってみたり、キグルミアクションしてみたり。ファン獲得のためにアイドルたちが奔走します。今まで手塩に育てたアイドルだけに、自然と皆ロールプレイやっちゃうんですよね。

最後には判定に成功した数で集計し、シナリオによりフェス成功・失敗が決まります。どちらにせよ達成感をともなう、「やりきった」感が味わえます。

垣間見えるブラックさ

さて、そんなこんなですばらしく楽しいシステムなのですが、そこかしこにブラックな要素が垣間見えます。

アイドルを「ハント」するのもそうですが、プロデューサーのアビリティ使用のリソースを「寿命」と称したり、ドリンクパーティーを行いながら影でアイドルを解雇したり。

プレイ中にも「寿命を減らせば~」や「そのアイドルはもう使い潰して~」など、意地の悪い会話がなされます。そういうところがさらに深いなと感じさせられますね。

まとめ

とにかく人を選ぶな、という印象ですが、ロールプレイに命を掛けているという人にはお勧めではないでしょうか。なんせ、プレイの8割程度がロールプレイで構成されているのですから。

わいわい騒ぎたい。掛け合いを楽しみたい。アホなシステムを求めている。そんな人にはお勧めですよ。イヤ本当。

最適化されたサイコロフィクション「キルデスビジネス」ルールパート感想

他人を蹴落としてまでも叶えたい願望のある人間を集めて開催される、地獄のリアリティーショー「キルデスビジネス」

標的には死を、ライバルにも死を。全てが許されるゲームが始まった。

全ては視聴率のために。

ボードゲームの祭典「JGC」にて、先行販売されたものを早速プレイしてみました。方々でも感想はあがってるかと思いますが、本記事はあくまでシステムルール自体の感想に終始します。

全体的に軽い

とにかく軽い。

キャラクターシートに記入する項目も少なく、HPやMPのような概念すらも取りさらった潔いステータス。キャラの性質や性格もランダム表が用意されており、迷うならそれに頼れば特長的なキャラクターがすぐに出来上がる。

地獄に呼び出された人々がテレビ番組に出演させられて標的を殺すことを要求される。それぞれ他を蹴落としてでも叶えたい願望があり、この番組の景品ともなる。しかし、それが叶うのは一人だけ・・・。ここまでお膳立てしてくれるので、プレイヤーもスムーズにゲームに入り込むことができるし、まどろっこしいモノローグも必要ない。

攻撃はスキルにて行う。スキルには一行から二行の記述で効果が収まっているので判断に迷う事もない。一人二つのクラスを選択し、クラスごとに三つずつのスキルが用意されている。二つのクラスで計六つのスキルを自動で取得。どれを取得して、どれを省くかなんてまどろっこしい事もない。とにかくクラスを選べばもうそのキャラが完成する。攻撃が成功すれば相手が死に、失敗すれば反撃されてこっちが死ぬ。シンプル。

インパクトがありながら、数行の説明で済む世界観

舞台は地獄。しかし独自の文化や地図や名前なんてものを説明する必要はまったくない。地獄のものには全て「ヘル」がつくだけだ。「ヘル」がつけば全て地獄のもの。とにかく「ヘルヘル」言っておけばそれでOK。アホらしいがインパクト抜群で、実際やってみるといつまでも頭に残るほどに影響力の強い設定だ。

「ここはヘル教会のヘル祭壇です。標的が懺悔をしているところに貴方たちが登場しました。足元にはヘルプロデューサーが指示した通りヘル目張りが張られているので、そこに立って整列してください。一瞬送れてヘル花火が爆発してヘル火花が散り、ヘルファンファーレが音量『ヘル』で鳴り響きました!! ヘルカメラマンがヘルローアングルで貴方たちのヘルカッコイイポーズをヘル写します。音楽が切り替わり『ヘルバッヘルベルンのヘルカノン』になったところで戦闘がスタートします」

始終こんな感じですばらしく楽しい。

作成されるキャラクターも妄言と妄想を詰め込んだものを作れれば完璧だ。例えばウインクで相手が蒸発するとか、お辞儀をすると相手が爆発するとか、抱きつくと相手が粉砕されるとか、オヤジギャグを言えば相手が凍り付いて死ぬとか。そんなことを考えながら楽しくわいわいキャラを作ろう。

そぎ落とされてコンパクトにまとまったルール

一方で、システムルール自体はかなりコンパクトにまとまっている。まるでボードゲームのようにキッチリとしており、GMの調整が入り込まないほど。最悪全員プレイヤーでも成立するのではないかと思えてしまうくらいだ。

GMの作成する標的と、それを守護する守護天使も実際そこまで強くもない。あくまで標的であり、倒される存在であると完全に定義されている。PLたちは「誰が」それらを倒すのか、「誰を」出し抜くのか、という思考戦が始終展開されており気が抜けない。まさにボードゲーム的というか、カードゲーム的というか、戦略が物を言う。

戦闘に破れると強くなるというのも面白い。わざと負けるという選択肢すら出てくるからだ。

サイコロフィクションというTRPGシステム群の、ひとつの最適解にも見える反面、サイコロフィクションだからこそというデメリットも見えるのも事実。手番があり、サイクルで一人ずつ行動していくのがサイコロフィクションだが、戦闘は長くなりがちだし、その間参加しない人は待機することになる。暇な時間がどうしても出来るというのは、まあ今までのサイコロフィクションでもあったことだ。ロールプレイをいくらでもできて口を軽く挟める人なら問題ないかもしれないが、今回は対立の面が強いので今までより色濃くそういった部分が浮き出る。もしかするとこのシステム面で合わない人は出てくるかもしれない。

最終的な勝利をどうイメージするのか、どうロールプレイをするのか、どう立ち回るのか。多方面で思考をまわすので以外と負荷は高い。しかし、パーティーゲームのような手軽さも同時に併せ持っているので、初心者のTRPG入門にはぴったりなのかもしれない。断言できないところがTRPGの難しいところでもあるなと思う。

ハードな世界感ながらもキャラクターの奇抜さが光る「ブラッド・クルセイド」感想

死から蘇り、永遠に生き、人の血を啜るもの―吸血鬼。彼らの決して満たされない飢えと欲望によって破壊されていく世界を守るため、狩人は夜を駆ける。狩りの終わりに待っているのは、死よりも忌まわしい運命だと知りながら。これは人類の曙から連綿と続く隠された闘争。その継承者たちの物語が、いま幕をあける。

緊張感に押しつぶされそうになるゲームプレイ

冒険企画局からリリースされるサイコロ・フィクション。リプレイとルールが一冊にまとめられており、空気感を味わいつつセッションに挑めるとても良心的なシリーズだ。そのシリーズの一つであるブラッド・クルセイドは吸血鬼と狩人たちの物語。

吸血鬼といっても、「ヘルシング」に出てくる吸血鬼たちなみに知力に富み、剛力を振るい、神速で襲いかかってくる。生半可なキャラを作ると簡単に弄ばれ殺されてしまう。そういう意味ではかなり人を選ぶタイトルにはなってしまっていると思う。実際、私が初めて経験した「ブラッド・クルセイド」では全滅の憂き目にあった。しかし、そこから生まれる絆、連携、達成感はまさに格別だとも思える。

吸血鬼を追っているはずが、道中で血を吸われたり、幸せの象徴である心のあり所を破壊されたり。一切の気の緩みも許されない。

強大な敵に立ち向かい、ボロボロになりながらも剣を振り上げ、渾身の一撃で葬る。そんなハードな世界感を体験したいなら、このTRPGタイトルはまさにお勧めだ。

個性的な面々

サイコロ・フィクションは基本的に行動とロールプレイがワンセットだ。アイテムを探す、という行動をするとしたら「どういった手段で、どのように」と理屈を通さなければならない。そういう意味で、PLもGMも皆で一つの物語を組み上げていくという実感が一層強まるゲームシステムだと私は思う。

本書のリプレイを見ると、面子の方々が作り出したキャラクターは本当に個性豊かだ。厨ニ病に染まった弓使い、復讐に燃え精神が不安定な釘使い、己の血を呪い自ら動くことを拒絶した人形使い、家と血筋とプライドで自分を固める剣使い・・・。妄言に妄言を上乗せするような会話劇は本当に面白い。

そして、一見ハードすぎる世界感も、尖ったキャラクターたちによってどこへ進むのかわからない一種の緊張感を生み出している。

個人的に面白いのは、手酌によるシーン進行を皆でどんどん膨らませている所だ。

PLの一人であるゼロは、吸血鬼の手下である一人を戦闘前に闇討ちする。GM以外は皆PLだ。

ゼロ◆《待つ》行為判定/成功

ゼロ:当てた。

GM:佐藤はコンビニ前で煙草を吸いながらしゃがんでる感じだったんですよ。

銃児(佐藤):「マジ真さんスゲェから。あの人は世界クラスだよ」

ミナ:ひゅるるるるるる。

ヒルコ(取り巻き):「佐藤さんよりツエーとか信じられねえッスねえ」

銃児(佐藤):「ばっかおっめ」……矢がドブっと。

ゼロ:壁に縫い止める感じ。

銃児(取り巻き):「うわー、さ、佐藤さんが標本のモンシロチョウみてえに!」

ミナ(取り巻き):「抜けねえ!」

ヒルコ(取り巻き):「具体的には次の戦闘に出られねえほど抜けねえ!」

ブラッド・クルセイド p58より

こういった掛け合いが多く展開される。時には自分以外のPCのロールにまで及ぶことも。プレイスタイルにはいくつもあると思うが、このような遊び方がされているのは初めて見たので、私としては「そっか、これって良いんだ」と新しい発見ができた。(私はまだTRPGを初めてまもないので、こういった掛け合いがされているリプレイは多々あるかもしれないが)

場の雰囲気も勿論あるだろうが、できることならこういう遊び方は一度やってみたいところだ。

サイコロ・フィクションは説明が難しいTRPGシステムジャンルだ。リプレイを読むだけでは中々何が起こっているのか把握しづらい。この本もリプレイ部分ではどうにもイメージしにくい所はある。それでも、TRPGの一つの遊び方を提示できているのは凄いことだと思う。