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超絶なカオスとキッチリと調整されたバランスが同居するアイドルハント&レッスンTRPG「どるばこ!」

猟奇的破壊集団TRPGサークル「なめくじたべぞう」さんの同人タイトルです。

簡単に紹介すると、プレイヤーはプロデューサーとなり、アイドルを「ハント」して「レッスン」し、来るべきフェスへと向けて準備を整え、これを成功させるというものです。

What’s 「どるばこ!」? – Togetterこちらも読んでみるといいかも。

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わかりやすいシステムとインパクトのあるコンセプトです。ルールもサマリー一枚に収まれているのと、キャラクターシートにできる事がまとまっているので全体が見通しやすくなっております。

アイドルを捕まえ育成する楽しさ

メインを担うのはプロデューサーではなくアイドル。現実と同じでこのシステムでもアイドルがメインとなります。システム上でも、ロールプレイ上でも。プロダクションはその大きさに合わせて雇えるアイドルの数が変わるのです。

沢山のアイドルが増えればもちろん最後の舞台、フェスでとても有利になっていきます。まずはアイドルをハントしていかなければ。

このアイドルを「ハント」するのがまず楽しいのです。トランプを引き、その図柄にあわせたアイドルが召還されます。性格が設定されており、それにより多様の成長方針があってこれまたバラエティに富んでいたりして。

プロデューサー:「ねえねえ、アイドルに興味ない?」

印象・毒舌:「え? なにいきなり。意味わかんないんだよね、キモイ死ね☆」

プロデューサー:「え、いや、えっと、スカウトなんだけれど。芸能界とか、興味な――」

印象・毒舌:「証拠出してよ。視界に居られると気分悪くなるんだよね。これ以上ぐだぐだやってると警察呼ぶよ♪」

のような小芝居を挟むようにしたりするとさらに面白いです。アイドル役はGMに任せても良いし他のプレイヤーが率先してやるときもありますよ。どちらにせよかなり盛り上がります。

続いて育成ですが、レッスンすることによりアイドルたちはドンドン特技やステータスが上昇していきます。一般的なシステムにおけるレベルアップのような形で、これまたワクワクするところです。自然と愛着が出来てきたりして、ロールプレイに熱が入ります。

プロデューサー:「今日はグラビアだ!」

印象・努力家:「う、うう、恥ずかしいですけどがんばります!!」

プロデューサー:「その表情いいよ!! いいよいいよ!!!」

印象・努力家:「キャ! どこから撮ってるんですか! やめてください! やめてください!!」

すっごい楽しいです。掛け合いもさることながら、現在進行形でキャラクターが育つというのは中々他のシステムでは味わえないのでとても新鮮。

一人六役なんて当たり前

そんなシステムですから、最終的にはアイドルが六人くらいになることはままあります。皆性格が分かれているので、結構被らずにそれぞれの個性が発揮されていきます。プレイヤー達でわいわい「この娘、最近レッスンしてないからそろそろ拗ねてるんじゃない?」とか言いつつ相談してみたり。完全にシステム上の論理思考から外れた判断をし始めます。ただ、それで良いと思えます。

サイコロフィクションをアレンジした手番方式を採用されていますが、よくあるような「手版じゃないからロールプレイできない」ということもなくジャンジャン口を出していく感じも良いですね。

そして、それをさらに促進される仕組みが「パッション」の投げあいです。

飛び交うパッションでロールプレイ合戦が

プレイヤーは皆手札にトランプを持っております。他人のロールプレイが面白かったりした場合(パッションを感じた場合)、これを譲渡する事ができます。また、GMからも飛んでくるので、とにかく隙あらばロールプレイしてやろうと盛り上がります。

プロデューサーでがんばるもよし、アイドルでがんばるもよし。

私の場合やりすぎて頭が痛くなってきます。が、楽しいからやめられないんですよね。ひどいプレイヤーです。

そしてフェスへ

フェスは文字通りフェスです。コンサートのようなものでしょうか?(実はよくわかってない)

ステージに立ち、レッスンの成果を皆に見せるのです。ここは大体完全にサイコロフィクションの体をなしています。トランプの図柄に合わせた指定特技へとダイスで判定を行うというシンプルなもの。サイコロフィクションが初めてでも、かなり簡略されているので一度やるとすぐに理解できるものに仕上がっています。

ものまねを披露したり、手品を披露したり、歌ってみたり、キグルミアクションしてみたり。ファン獲得のためにアイドルたちが奔走します。今まで手塩に育てたアイドルだけに、自然と皆ロールプレイやっちゃうんですよね。

最後には判定に成功した数で集計し、シナリオによりフェス成功・失敗が決まります。どちらにせよ達成感をともなう、「やりきった」感が味わえます。

垣間見えるブラックさ

さて、そんなこんなですばらしく楽しいシステムなのですが、そこかしこにブラックな要素が垣間見えます。

アイドルを「ハント」するのもそうですが、プロデューサーのアビリティ使用のリソースを「寿命」と称したり、ドリンクパーティーを行いながら影でアイドルを解雇したり。

プレイ中にも「寿命を減らせば~」や「そのアイドルはもう使い潰して~」など、意地の悪い会話がなされます。そういうところがさらに深いなと感じさせられますね。

まとめ

とにかく人を選ぶな、という印象ですが、ロールプレイに命を掛けているという人にはお勧めではないでしょうか。なんせ、プレイの8割程度がロールプレイで構成されているのですから。

わいわい騒ぎたい。掛け合いを楽しみたい。アホなシステムを求めている。そんな人にはお勧めですよ。イヤ本当。