すこし急ぎすぎなテンポがぬるさと良く合う「魔王と勇者の0フラグ」 書評

魔王城に乗り込み、あっさり倒されてしまった勇者。死を覚悟した彼女が、目を覚ますと―そこはのーんびりとした牧場だった!?そしてなんと、側には宿敵・鎧姿の魔王がいる。あろうことかそいつは、「勇者ちん、ボクと一緒に暮らそうよ」と言いだして―。キレ気味美少女勇者ちんと心優しい魔王の、騒々しくも牧歌的なギャグ&ピュアラブコメ。

via: Amazon.co.jp: 魔王と勇者の0フラグ (角川スニーカー文庫): 宮地 拓海, 日向 悠二: 本

魔王と勇者×ラブコメと、これまたなんと鉄板物で、どう勝負してくるのか気になって読んでみた。意外と直球で逆にびっくり。

ただ、キャラクターの性格については少し定番から外れていて、勇者はツンデレというよりも、「勇者」という役柄に傾倒しているがゆえの頑なさを持っている。魔王は魔王で無垢純粋で一直線。こういう男性キャラってのは最近あまり見ないので、なんだか肌がむずむずすしながら読んだ。

展開、コメディ部分はテンプレート通り進む感じだ。ツッコミに大きな文字を使ったり、○○ダメージ!なんてのも懐かしい気分になる。急ピッチで進むので、サブキャラたちの印象はかぎりなく薄い。詰められるものを全て詰めました、という割にすこし薄味なのは否めない。

まるで四コマ漫画を読んでいる気分になる。そして多分、この本はこれでいいのだとも思う。

小説入門、ぬるめな物が読みたい人にはこれくらいが丁度良いだろう。