さわやかな不思議さが独特のジュブナイル「ひとりぼっちの地球侵略 一巻」書評

出会いと地球の運命は?新感覚SF青春譚!

人口70万に満たない、
そこそこ栄えた地方の
そこそこな中心都市・松横市。
この春、高校に入学する広瀬岬一は、
入退院を繰り返す双子の兄・凪とは正反対の健康優良児。

入学式当日、
岬一の前に現れた
“ひどい変わり者”の2年生・大鳥希。
「命をもらいに来た」と岬一に迫るが、
岬一の身体は負った傷をたちどころに治してしまう。
驚く彼に、彼女は態度を一転させて告げる。

「一緒にこの地球を侵略しましょう」と――

【編集担当からのおすすめ情報】
「とある飛空士への追憶」のコミカライズで大躍進した
新鋭・小川麻衣子の初オリジナル連載!

via: Amazon.co.jp: ひとりぼっちの地球侵略 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス): 小川 麻衣子: 本

自称宇宙人の女の子に振り回される主人公。けれども本当に宇宙人が自分を襲ってきて――といったわりとオーソドックスな掴みから、けれどもどこかのんきでほのぼのとした描写から新鮮さを感じてしまう。

キャラクターの表情もそうで、素直な反応を見せる主人公とそれをおもしろがるヒロインとでのやりとりがとても楽しい。

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とにかく話の見せ方、キャラクターの見せ方が上手だと感じる。二人の出会いからして衝撃的で、王道。そこから主人公の身の上、ヒロインの介入、宇宙人との遭遇。テンポよく進行するので読んでいて心地良い。

ヒロインの掴め無さ、一貫した思考は興味が沸いてくる。

突然鼻眼鏡をかけたり指定では無い性格を着てきたり・・・そのはちゃめちゃすぎる行動とはうらはらに、「おちゃめ」の域を出ない、かわいらしい感じがとくに良い。主人公もじわじわとヒロインに引かれて、目がはなせなくなっていくところかも。

知りたいという気持ちと、心配という気持ちが交わる瞬間の主人公のハッとした顔はまさに青春で、ああ、いいなあと思える。

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そういえばこういった組み合わせ、垢抜けないセカイ系とも言えるのか――は「高橋しん」作品を彷彿とさせるかもしれない。
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どこか排他的で、閉塞感に見ていて、でも理解しあっている、そんな世界感。

戦闘で血まみれになりながらも涼しく、どこか機械的なヒロインとそれを「そういうものだ」と認識し始める主人公。そういった間をさらりと描いてくれる確かな画力を感じる。

そしてこの、ちょっとだけ不思議な絆が繋がりかけた、もしくは繋がった所で二巻へと続く。良い余韻だと思う。

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