芳文社 (2013-08-27)
自宅録音に夢中な女の子・ソラミ。絶賛浪人中なのに、今日もギターに作曲に…と大忙し。外に出るのが怖くたって、お母さんと気まずくたって、音楽があれば大丈夫。
そんな彼女の部屋には、ちょっと変てこな仲間たちが集まります。マンガ描き女子高生・フミリン、歩く寝袋がトレードマークのネモちゃん、そしてソラミの過去を知る幼なじみ・さっこ(現役合格・大学生! )。
自ら紡ぎ出した音楽が響き、気の合う仲間たちが集うソラミの部屋は、儚げな幸せに満ちていて――。
元々、この漫画の著者はニコニコ動画で多数の初音ミク曲を出していたので知っている人も多いだろう。
柔らかな絵柄とは裏腹に胸にグサグサ来るような曲を作る人で、私は大好きで良く聞いている。
この漫画も曲と同じくノッツ節炸裂、という感じでとても嬉しくなった。
将来への不安とか、停滞する事の居心地の良さとか、それでいて現状を正しく認識してどうにかしなくちゃいけない。というような年頃の若い人独特なダウナーな感じが始終漂っている。
気楽に騒いでいるようで、横には気だるい現実が常にあるあの感じ。
主人公は所謂ヒキコモリではあるが、元々の明るい性格から現状から抜け出そうと努力している浪人生だ。勉強には身が入らず音楽に逃げてしまい、これではいけないともがいている。
そんな主人公を気づかい遊びに来る三人の仲間達。この仲間達もまた、色々なコンプレックスを抱えていて、互いに離れられない。
そのお互いに助け合ってるようで、足を引っ張り合っているような関係がとても良い。
あくまでヒキコモリをメインにせず、心理的なお互いの距離感をメインに据えているので気楽に読むことが出来て「ああ、俺もこうだったよ」と思う事が出来る良い漫画だ。
特に主人公と母親のやりとりはとても印象に残る。
主人公は現実から逃げるためにヒキコモリになり、母親もまた逃げる為に自らを多忙にして逃げる。それでも向かい合おうとする二人。こういう関係って良いよなあ。
芳文社 (2013-08-27)