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小説家らしい独特な解釈が面白い「死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死」感想

「永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」生物教師・伊藤が着任した女子校「私立藤凰学院」にはそんな噂があった。話半分に聞いていた伊藤だったが、後日学校にて、ある女生徒から声をかけられる。自分がその「死なない生徒」だと言ってはばからない彼女だったが、程なく彼女は何者かの手によって殺害されてしまう―。果たして「不死」の意味とは?そして犯人の目的は!?第16回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞者・野崎まどが放つ、独創的ミステリ。

「不死」という物を取り扱う小説は数多あります。バトル物ならば特に、キャラの特徴としてはチョイスしやすいポピュラーな要素ですね。

主人公である伊藤は、とある女子校に着任してすぐ「永遠の命をもった生徒」のウワサを耳にします。最初は信じないながら、そのウワサはことある毎に彼の耳に入るにつれ立場上、命という物が何かを考え始める。

そんな彼の前に、ついにウワサの生徒と相対するが――。

という導入から始まるミステリはしかし、言うほど複雑な構造をしていない。登場人物はそれほど多くないし、すぐに答えも出る。しかしそれでも「不死」という物がなんなのか、主人公が答えに迫っていく様は淡々とした文章も相まって緊張感があります。

個性的なキャラクターが物語自体の舞台装置になってるのも面白い。どんでん返しに次ぐどんでん返しもなるほど、と唸ってしまいます。

死なない生徒についてことある毎に疑問を投げかけてくる同僚。不死な人と友達になりたい女生徒。自らを不死だと名乗る生徒。

キナクサイ。キナクサイよ!

けれども、彼、彼女らとのやりとりが軽快で、ズレていて、楽しいんですよね。

後半の静かな、一気に収束する物語はほどよい刺激になります。全体的に静かな、それでいてゾクっとする気持ち悪さ。

この手の物語を良く読む人にとってはありがちとも取られるかもしれませんが、軽く変な物語を読みたい人にはお勧めではないでしょうか。

[焼きそばパン競作]食感ってとっても大切なのよ

 地下二階。洞窟を掘り抜いたかのように岩肌むき出しな廊下の隅の売店で、俺はもうかれこれ二十分以上も悩んでいた。並ぶ品々はとにかく多彩。緑色でスライム質のなにか、ラッピングされた動物の腕にしか見えない生肉、蛍光黄色のレンコン、携帯ゲーム機、エトセトラ、エトセトラ。
 まるで、抽象絵画かシュールレアリスムな空間から抜け出してきたような光景だった。「レンジとお湯はセルフサービス」という札が、ここが間違いなく売店で、しかも食料品メインで販売していると訴えている。
「昼休みが終わるぜにーちゃん」
 彫刻よろしく、表情をまったく変えない店員が言った。
「あ、はあ。いや、えっと。はい」
 俺は曖昧に答えて、また色彩博覧会に視線を落とす。ど、どれが俺の口に合う――というより「食べられる」んだ?
 目が眩みながらもゆっくりと探していく。と、
 ――焼きそばパン!?
 それは間違いなく、総菜パンのレジェンドオブ定番とも言える食べ物だった。ラベルにも間違いなく「焼きそばパン」とある。
 俺の手が、半ば条件反射的にそれを掴もうと伸びた。
 が、まるで間に入るかのように誰かの腕が割り込んでくる。
「……なに人の手掴んでるの」
 まっ白な腕、それでいて体温をまるで感じさせない冷たさで、サラサラとしている。
「あ、ごめん」
 俺は慌てて手を離し、声の主に向き直った。
 腕と同様、肌はどこまでも白。感じなかった体温のように顔は無表情で、けれども影に隠れた大きな瞳が俺を貫き見据えているように感じる。灰色と黒のフリルがふんだんにあしらわれたドレスを着ていて、ちりばめられたシルバーの装飾が冷たく光っていた。
 まるで、彼女だけが無機質、モノクロの世界に取り残されたような、そんな錯覚すらおぼえる。
「これが、欲しかったの?」
 幽霊を思わせるか細い声で言いながら、彼女は焼きそばパンを胸に抱いた。動きに合わせて、カシャンと音が鳴る。
「ああ。他のものは俺に合いそうにないから……」
「そう」
 彼女が店員に金を渡そうとした。
「ちょ、ちょちょちょ待って!?」
「なによ」
 慌てて腕を取ってとめると、彼女は不機嫌そうに口を少しだけ大きく開く。
「俺にはそれしかないっていったよね」
「いったけど」
「『譲ってもらえないか』ってこと!」
「なんで」
「いや、なんでって……」
「私は今日は、これを食べたい気分なの」
「『今日は』ってことは、他のを食べることもできるんだろ!?」
「できるけれど」
 彼女はちらりと並ぶ品々を見まわして、
「やっぱり『今日は』これ」
「ええええええええ……」
 俺は軽く目眩を感じた。なんだよ今日はって。いいじゃないかよ譲ってくれたって……。
「なあ、頼むよ。俺には……「人間」の俺には、それしか食べられそうなものがないんだ。頼む、この通りだ」
 深々と頭を下げた。
 彼女が体を傾けるのが、雰囲気と音でわかる。
「そう言われても、私だって、今日はこれ」
「つったって、君――」
 俺は体勢を整えて、

「――骨じゃないか」

 と言った。
「骨だけど」
 彼女はあごをカシャンと閉じて頷いた。
 そう、彼女は骨、スケルトン。腰にぶら下がったシミターは相当の年代物だろう。それが焼きそばパンを胸に抱いて、お嬢さま然とたたずんでいるのだ。
「味覚は?」
「ないわ」
「だったら!」
「触感ってとても大事なの」
「……」
 もはや、ぐうの音もでない。

 ぐー。

 や、お腹はぐうといってのけた。
「お腹、すいてるの?」
「ああ、今日はなにも食べてない」
 そもそも食べれるものに出会ったためしがない。ここ、この『学園』。ダンジョンをまるごと敷地にした、モンスターたちが通う全寮制の学校へと入れられてから、ついに見つけた唯一の食料なのだ。
「それならさっさと言いなさいな」
「いやいや、察してくれよ」
 彼女は首を傾げて少し考えるような間があったあと、店員に今度こそ金を払ってしまった。
「ああ!?」
「一緒に食べましょう」
「へ?」
 焼きそばパンを胸に抱き、さっさと廊下を歩き出してしまう。
 慌てて追いかける俺の背中に、店員であるモアイの「おいしくめしあがれ!」という低い声が届いた。

右脳で描くことは出来るのかしら? part1

はじめに

表題の通りです。

なかなか面白い本をいま読んでいます。

美術を教えている先生自らが自身の脳に起こっている動きを観察し、自分はどうやって絵を描いているのか、なにを見て描いているのか、を解説してくれています。

右脳で描くってなにさ

人間の脳みそは左脳と右脳に分かれてますよね。それぞれ役割がちゃんとあって、左脳は文字、右脳は感性などを司っているそうです。文字を認識するのも左脳だし、人の顔を認識するのも左脳です。また、ほとんどの人が絵を描くときに使っているのも左脳だそうです。じゃあ右脳ってどんな時に使っているの・・・?

いつなんでしょうね。

少なくとも学校では右脳の動かし方を習わないし、組まれるカリキュラムも左脳を使う物がほとんどなのだそうです。

本書には色々な例をとって左脳と右脳の説明をしていますよ。

ステップアップで一つずつ講義が進む。だったら・・・

とはいっても、いきなりそんな概念みたいな事を説明されたってそれこそ左脳でしか理解できないよママン。

というわけで実際に絵を描きながら右脳を開発していくことになります。とても興味深いのと同時に、じゃあ私にもできるかしらと思った次第です。やるっきゃねえ。やるっきゃねえよ!!

と言うわけで、何回かに分けて実際に描いた私の絵をあげていこうかなーと思います。

初回はこちら。

oh….

これはひどい。

最初の課題として、一番最初、まだなにも教え込まれてないまっさらな状態の絵を描け、だそうです。

顔、手、椅子の三つ。

顔はさすがに恥ずかしいのでここではお見せしませんが、手と椅子をアップしました。

椅子は私が普段使ってる奴です。椅子に見えますよね? 手は自分の左手です。

手の膨らんだ所を出すのがとても難しいのと、それぞれの指の骨があるのかないのかよくわからない感じになっています。椅子はクッションの部分がのっぺりしていますね。バースっていうんですか? そういうのも狂っている気がします。

最初の状態から初めて本を読み終わる頃にはどうなっているんでしょうか。私自身楽しみです。がんばるぞー

2012年に読んだ衝撃的だった本たち

今年も色々と本を読みました。全て合わせて300冊程度。みなさんはどのような本を読みましたか? 私の場合、今年は色々と挑戦の年であったように感じます。小説に本腰を入れ、htmlやphp、wordpressなんかにも首を突っ込み、今はC#を楽しく弄ってますよ。

今年は何に力を入れましょうか・・・イラストとか楽しいかも知れません。

ともあれ、振り返りつつのんびりまとめていこうかと思います。

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無味無臭の”あの頃”が横に座る「学校の音を聞くと懐かしくて死にたくなる」感想

郷愁と哀愁。後悔と未練。 鬼才、せきしろが紡ぐ短編ライトノベル集。 担任の先生が教壇に立つ。いつもなら騒がしい教室が今日は静かである。 生徒たちは誰も口を開かない。 「無事、卒業式が終わりました……」 教室に響く音、廊下に伸びる影、卒業式の涙。 図書室の先輩、アルバイト中のキミ、文化祭の僕。 鬼才、せきしろが自由律俳句、108字×108編のショートショートに続き挑んだ新ジャンル“短編ライトノベル”堂々開幕。

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短編「ライトノベル」とされているが、まさに「ライト」だと思う。ただ、一般的なライトノベルの枠には絶対に入らないが。

まさにタイトル通り、登下校の足音、放課後の吹奏楽部の練習、チャイム――あらゆる「学校の音」に懐かしさと同時に、痛さのようなものを感じる人を狙い撃ちするような本だ。多感な時期を集団で過ごし、若く極端な思考による哲学を組み立て、それなりに充実した生活を送って、社会に出てみてふと振り返る。あの頃の自分は輝いていたのか、それとも、実はそれほど輝いていなかったのか……。本当は「無意味」だったのではないか。そんな風に錯覚(もしくは気づか)されるものとなっている。

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