「エンタメ」カテゴリーアーカイブ

本、映画、アニメ、動画などといった娯楽作品関係の記事をここにまとめています。

とにかく大迫力・息継ぎなしのロボットアクション「パシフィック・リム」感想

大ヒット上映中! 3D/2D同時上映|映画『パシフィック・リム』公式サイト

近未来。太平洋の奥深くにある海溝から突如巨大な生物が現れ、世界各国の主要都市が次々と襲われた。「カイジュウ」(怪獣)と呼称される謎の巨大生物たちの圧倒的な力を前に、人類は滅亡の危機に瀕する。国際的な軍事組織、環太平洋防衛軍は最終手段として、パイロットと神経を接続して動く2人乗りの巨大ロボット「イェーガー」を稼働させ、カイジュウ退治に向かわせた。対怪獣戦争のはじまりである。

とにかく迫力のある映画がみたい! と思ったら今年はもうこの映画意外にないだろう、と思うほどに出し惜しみしない映画だ。

目まぐるしい程にシーンが進み、戦闘、戦闘、戦闘!!

冒頭一分からカイジュウが出現してからノンストップ。スピードマックス。監督はこの映画を「目のプロテイン」と表現したけれど、まさにという感じ。

その分細かな所に粗が見受けられるものの、そんな事を気にしてたら負けだ。カイジュウは怪獣らしく動き回り、ロボはロボらしくガショガショ駆動する。それぞれ特徴があって実に良い。突拍子の無い設定が目白押しで、特撮ファンはきっとこういうのたまらないのだろうなと思う。音楽も素晴らしく、ゴジラの登場シーンを彷彿とさせるような曲調はきっとリスペクトなのかなとか思ったり。

吹き替え版は声優の方々が熱演していて無理なく物語にのめり込めるし、贅沢な娯楽映画が出来たものだ。

話題になった芦田愛菜の演技も見事。「ママ」の一声に胸が締め付けられる。

総じて、満足度が高く手放しで見る事が出来る映画だった。

ハードな世界感ながらもキャラクターの奇抜さが光る「ブラッド・クルセイド」感想

死から蘇り、永遠に生き、人の血を啜るもの―吸血鬼。彼らの決して満たされない飢えと欲望によって破壊されていく世界を守るため、狩人は夜を駆ける。狩りの終わりに待っているのは、死よりも忌まわしい運命だと知りながら。これは人類の曙から連綿と続く隠された闘争。その継承者たちの物語が、いま幕をあける。

緊張感に押しつぶされそうになるゲームプレイ

冒険企画局からリリースされるサイコロ・フィクション。リプレイとルールが一冊にまとめられており、空気感を味わいつつセッションに挑めるとても良心的なシリーズだ。そのシリーズの一つであるブラッド・クルセイドは吸血鬼と狩人たちの物語。

吸血鬼といっても、「ヘルシング」に出てくる吸血鬼たちなみに知力に富み、剛力を振るい、神速で襲いかかってくる。生半可なキャラを作ると簡単に弄ばれ殺されてしまう。そういう意味ではかなり人を選ぶタイトルにはなってしまっていると思う。実際、私が初めて経験した「ブラッド・クルセイド」では全滅の憂き目にあった。しかし、そこから生まれる絆、連携、達成感はまさに格別だとも思える。

吸血鬼を追っているはずが、道中で血を吸われたり、幸せの象徴である心のあり所を破壊されたり。一切の気の緩みも許されない。

強大な敵に立ち向かい、ボロボロになりながらも剣を振り上げ、渾身の一撃で葬る。そんなハードな世界感を体験したいなら、このTRPGタイトルはまさにお勧めだ。

個性的な面々

サイコロ・フィクションは基本的に行動とロールプレイがワンセットだ。アイテムを探す、という行動をするとしたら「どういった手段で、どのように」と理屈を通さなければならない。そういう意味で、PLもGMも皆で一つの物語を組み上げていくという実感が一層強まるゲームシステムだと私は思う。

本書のリプレイを見ると、面子の方々が作り出したキャラクターは本当に個性豊かだ。厨ニ病に染まった弓使い、復讐に燃え精神が不安定な釘使い、己の血を呪い自ら動くことを拒絶した人形使い、家と血筋とプライドで自分を固める剣使い・・・。妄言に妄言を上乗せするような会話劇は本当に面白い。

そして、一見ハードすぎる世界感も、尖ったキャラクターたちによってどこへ進むのかわからない一種の緊張感を生み出している。

個人的に面白いのは、手酌によるシーン進行を皆でどんどん膨らませている所だ。

PLの一人であるゼロは、吸血鬼の手下である一人を戦闘前に闇討ちする。GM以外は皆PLだ。

ゼロ◆《待つ》行為判定/成功

ゼロ:当てた。

GM:佐藤はコンビニ前で煙草を吸いながらしゃがんでる感じだったんですよ。

銃児(佐藤):「マジ真さんスゲェから。あの人は世界クラスだよ」

ミナ:ひゅるるるるるる。

ヒルコ(取り巻き):「佐藤さんよりツエーとか信じられねえッスねえ」

銃児(佐藤):「ばっかおっめ」……矢がドブっと。

ゼロ:壁に縫い止める感じ。

銃児(取り巻き):「うわー、さ、佐藤さんが標本のモンシロチョウみてえに!」

ミナ(取り巻き):「抜けねえ!」

ヒルコ(取り巻き):「具体的には次の戦闘に出られねえほど抜けねえ!」

ブラッド・クルセイド p58より

こういった掛け合いが多く展開される。時には自分以外のPCのロールにまで及ぶことも。プレイスタイルにはいくつもあると思うが、このような遊び方がされているのは初めて見たので、私としては「そっか、これって良いんだ」と新しい発見ができた。(私はまだTRPGを初めてまもないので、こういった掛け合いがされているリプレイは多々あるかもしれないが)

場の雰囲気も勿論あるだろうが、できることならこういう遊び方は一度やってみたいところだ。

サイコロ・フィクションは説明が難しいTRPGシステムジャンルだ。リプレイを読むだけでは中々何が起こっているのか把握しづらい。この本もリプレイ部分ではどうにもイメージしにくい所はある。それでも、TRPGの一つの遊び方を提示できているのは凄いことだと思う。

確かに感じられる生々しさ「リング」感想

同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。――そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。静かにビデオが始まった……。恐怖とともに、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。

なぜ今更「リング」なのかと言われれば、夏らしい本を読みたくなったのと、映画「貞子3D2」がやることを耳にしたからに他なりません。

日本で一番名前が知られている幽霊、貞子。

原作ではどのような存在で描かれているのか、今更ながらが気になったのです。

読みやすい文体の中に潜む生々しさ

さらりと読めてしまう文体はぐいぐいと物語へと読み手を誘い入れる。しかし、そこには確かに得体の知れない生臭さを感じ取ることが出来る。忘れた頃に挿入されるどうしようもないほどの生活感。匂いすら発しそうな描写。そしてビデオ。

この物語は、主人公「浅川」から見た貞子の分析録だ。自分を守るため、そして家族を守るためにもがいた一週間が濃密に収まっている。

彼は確実に貞子へと近づいていき、その輪郭を浮き彫りにさせていく。

一週間で死ぬビデオを中心に、「貞子」をも巻き込んで目まぐるしい速度をもって物語が展開される。

絡み合う人と人

表題にある「リング」の通り。この物語は人同士の繋がりが重要になる。

それぞれの思惑、それぞれの行動が密にリンクしあい、一つの惨劇とも言える終末へと向けて転がっていく。謎が謎を呼び、その謎が新たな人物を引き寄せる。そうして、まるで終わりが無いかのようにどこまでも深くなっていく。

それはあまりにもサスペンスめいていて、いつの間にか這い寄る恐怖よりも、真相を知りたいという欲求が勝ってくる。

浅川たちが出した結論は果たして正しいのかどうか。最後の怒濤の展開は、言わずもがなだ。

荒々しさが皮肉にもコンパクトにすっきりと「同人王」感想

概要

特に努力もしたことがなく、人付き合いも破滅的に悪く、しかしプライドだけは高く。典型的なダメ人間であるタケオはズブズブと人生のどん底に落ちていく。

その中で、ついに出した自身への答えが「同人誌」を出して稼ぐ事。

タケオの人生最大の賭けが幕を開ける。

典型的なサクセスの皮を被ったリアル

タケオの向こう見ずな行動や思考は、しかし創作における私たちの無意味な自信やプライドに通じるところがある。

物を作るという行為それ自体が私たちに及ぼす精神状態。その様を見事に、リアルに描いて見せているのはさすがといったところ。

しかしお世辞にも、単純なサクセス物としてこの本を読むとあまりにもご都合主義であり、淡々と時間軸が進む。枝葉が分かれていないシンプルな話の流れは、あまりにもタケオの成長がまっすぐ描かれて過ぎているのだ。伏線や目立たせたいコマがさらりと流れていき起伏に乏しいとさえ思えてしまう。

一方で「こういうものなんだよな、うんうん」というじんわり来るものも確かにあるのだ。創作ってそういうもんだよな。わかる、わかるよ。回りは天才で、俺は自分を信じることでしか自我を保てないんだよ。なんといわれようと、心の中では俺が一番だと思い続けてないとガラガラ崩れそうなんだよね。・・・みたいな。

著者の魂の声が聞こえるか

web漫画独特の荒々しさ、蛇足感、無駄ゴマがあまり見受けられない。スッキリ。コンパクト。その理由はあとがき漫画に描かれている。

そこには著者がweb連載時に感じていた葛藤や苦悩が赤裸々すぎるほどにつづられている。その数ページの濃さといったら。まるで濃縮された呪詛だ。ドロドロとした感情が煮詰まり、ぶちまけられているように思う。それでも最後に「ありがとう」と言ってのけた著者に拍手を送りたい。

そうして出来上がったと知ったこの本を、もう一度最初から読み返すとまた違った味わいを感じる。私はこの物語がたまらなく愛おしい。

何度も何度も叩いて作り直された物語は、残念ながらコンパクトにまとまってしまった、というのが私の印象だ。

それでも、この作品に魂が詰まっているのを確かに感じる。

「戦艦これくしょん」でのTRPG化二次創作はNGっぽいです

ツイッターで流れてきて知ったのですが、質問として二次創作への回答がありました。

<ファン活動/同人活動について>

Q5.同人誌やファンアート、同人二次著作小説を作りたい、描きたいのですが、許諾や申請許可が必要でしょうか。

A5.いわゆる慣例的な同人活動(同人誌即売会での頒布、同人ショップ委託販売、コスプレ等、HP/イラストSNS等)の範囲であれば、「艦これ」関係各社/者・運営等に迷惑をかけない範囲で、ゲームシステムのないもの、また、公序良俗に反しないものであれば、現時点では問題ないと考えています。ただし、一般商業ルートでの商業二次著作物については、法人として版権窓口である「角川ゲームス」の許諾をとったもの以外は”NG”です。

また、HPやツイッター等で本ゲームを紹介すること以外では、ゲームの絵素材/音素材等を使用することは、恐縮ですが”NG”とさせて頂ればと思います。できるだけ提督の皆さんと一緒に「艦これ」の世界を、楽しく育てていければと考えています。ご理解いただけますと幸いです。

via: No.192 – トピック詳細 – オンラインゲーム – DMM.com

そんなわけで、「ゲームシステム」を有するTRPGは、二次創作としては残念ながらNGとなりそうですね。

まあ、考えてみたら当たり前で、ゲームとして売りだしている「艦これ」の二次創作でゲームを作っちゃうとパイを奪いかねないわけで。ここらへんしっかりと考えているのだなと安心した次第であります。

こうやってしっかりと明言してくれると、今一生懸命絵を描いたり、コスプレ衣装なんかを作っている人は安心して制作に励めるのではないでしょうか。

今後ますますの発展を期待しております。

安定した疾走感とこだわりと欲望が見える「絶体絶命英雄」感想

概要

お節介にお節介すぎる主人公「志村 九地(しむら きゅうち)」は、車に轢かれそうな猫を助けようとして、死んでしまう。しかし、もうろうとした意識の中で、彼は誰かに呼ばれる。

目覚めれば、彼は少女の体に入り、化け物に囲まれていたっ。

という、何処の誰かもわからぬ女の子に憑依? し窮地を救うという物語。

わかりやすい。ものすごく。

感想

とにかくテンションとスピード感を保つ事に終始している。勢いのある大ゴマ、なびく衣服、鮮やかな色。元々はニコニコで漫画連載されているものらしく、一ページ三つの大枠が充てられている。この状態で物語の緩急をつけられているのは中々興味深い。

全編フルカラー。独特なかわいらしい絵と彩色がまず目を引く。

キャラクターたちの性格も単純で、話も複雑な事は特になく、小難しい概念などを理解しなくても良い。窮地に陥る女の子を、どのように救うか。その一点のみに集約されているのが素晴らしい。

黒幕らしきモンスターは、幸せな少女たちが絶望に染まり、窮地に陥ったその瞬間を摘み取るのが目的なようで、その点どこか魔法少女物に通じるものがある。ただ、窮地に陥る少女に入るのが男というあたり、欲望に突き抜けている。

この一冊には、導入となるオーソドックスなモンスターたちに襲われる少女と、成績優秀超真面目女学生が尿意を我慢する話が含まれている。

まあ、肩の力を抜いて羞恥に歪む少女にニヤニヤするのも良いと思うよ。

どうやら「売れれば二巻が出る」ようで。がんばってほしいと切に願う。

さわやかな不思議さが独特のジュブナイル「ひとりぼっちの地球侵略 一巻」書評

出会いと地球の運命は?新感覚SF青春譚!

人口70万に満たない、
そこそこ栄えた地方の
そこそこな中心都市・松横市。
この春、高校に入学する広瀬岬一は、
入退院を繰り返す双子の兄・凪とは正反対の健康優良児。

入学式当日、
岬一の前に現れた
“ひどい変わり者”の2年生・大鳥希。
「命をもらいに来た」と岬一に迫るが、
岬一の身体は負った傷をたちどころに治してしまう。
驚く彼に、彼女は態度を一転させて告げる。

「一緒にこの地球を侵略しましょう」と――

【編集担当からのおすすめ情報】
「とある飛空士への追憶」のコミカライズで大躍進した
新鋭・小川麻衣子の初オリジナル連載!

via: Amazon.co.jp: ひとりぼっちの地球侵略 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス): 小川 麻衣子: 本

自称宇宙人の女の子に振り回される主人公。けれども本当に宇宙人が自分を襲ってきて――といったわりとオーソドックスな掴みから、けれどもどこかのんきでほのぼのとした描写から新鮮さを感じてしまう。

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物語が一気に加速して目眩すら感じる「ノーゲーム・ノーライフ 三巻」書評

ゲームで全てが決まる世界【ディスボード】――人類種の王となった異世界出身の天才ゲーマー兄妹・空と白は、世界第三位の大国『東部連合』に、その大陸全領土と”人類種の全権利”を賭けて行う起死回生のゲームを仕掛けたが、直後。謎の言葉を残して空は消えてしまった――……引き離された二人で一人のゲーマー『 (くうはく)』
消えた空の意図、残された白、人類種の運命は! そして獣耳王国(パラダイス)の行方は――!?
「言ったろ”チェックメイト”って。あんたらは……とっくに詰んでたのさ」
対獣人種戦決着へ――薄氷を踏む謀略が収束する、大人気異世界ファンタジー第三弾!

via: Amazon.co.jp: ノーゲーム・ノーライフ3 ゲーマー兄妹の片割れが消えたようですが……? (MF文庫J): 榎宮祐: 本

早いもので、このシリーズも三巻目に突入した。

独特な地文も、若干混乱するカメラワークもここまで来ると慣れてきて快感に変わってくる頃合い。

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すこし急ぎすぎなテンポがぬるさと良く合う「魔王と勇者の0フラグ」 書評

魔王城に乗り込み、あっさり倒されてしまった勇者。死を覚悟した彼女が、目を覚ますと―そこはのーんびりとした牧場だった!?そしてなんと、側には宿敵・鎧姿の魔王がいる。あろうことかそいつは、「勇者ちん、ボクと一緒に暮らそうよ」と言いだして―。キレ気味美少女勇者ちんと心優しい魔王の、騒々しくも牧歌的なギャグ&ピュアラブコメ。

via: Amazon.co.jp: 魔王と勇者の0フラグ (角川スニーカー文庫): 宮地 拓海, 日向 悠二: 本

魔王と勇者×ラブコメと、これまたなんと鉄板物で、どう勝負してくるのか気になって読んでみた。意外と直球で逆にびっくり。

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淡々とニコニコ動画を五年間ほど見続けたユーザーのNGリスト

別にえらそうな事を喋ろうというわけでもないのだけれど、ニコニコ動画、それも総合ランキング上位のものをちょこちょこっと淡々と五年間見続けたぬるユーザーのNGリストはこんなものですよ、というのを記事にしてみたいなと思いまして。

参考にしても、いいのよ?

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